PROJECT STORY
大学研究所の設備設計
ー東京⼤学(本郷)定量⽣命科学研究所ー
PROJECT STORY No.18
大学施設
- ZEB
- 空気清浄、感染症対策

Data物件データ
建物名称東京大学定量生命科学研究所
所在地東京都文京区
主要用途大学施設
延床面積9,062㎡
規模地上4階、地下1階
構造鉄骨鉄筋コンクリート造
工期Ⅰ期:2023年8月~2024年5月
Ⅱ期:2024年7月~2025年3月
建築主国立大学法人東京大学
建築設計(株)パシフィックコンサルタンツ
設備設計(株)総合設備コンサルタント
建築施工Ⅰ期・Ⅱ期工事 (株)小松原工務店
機械設備施工Ⅰ期・Ⅱ期工事 東洋電興(株)
電気設備施工Ⅰ期・Ⅱ期工事 栗駒電気工事(株)
本施設は東京大学の附置研究所で、「生体機能分子の動的構造と機能の解明」をキーワードに、生命動態の定量的な記述を追究することを目的とした研究所である。本プロジェクトは、Ⅰ期、Ⅱ期の工事に分かれ、設計対象エリア以外は運用しながらの
改修という条件に加え、文部科学省の改修ZEBの施策事案であり、改修後にBEI≦0.6のZEB Oriented相当を目指したものである。
改修ZEBに対する取り組み
改修後にZEB Oriented相当を目指すため、Ⅰ期、Ⅱ期それぞれの改修エリアごとに、BEI≦0.6を達成出来るように、繰り返し検証を行った。
電気設備はLED照明器具の採用を前提に、実験室を除く主要室や共用部に人感センサーによる自動点灯制御や調光制御を取り入れた。
機械設備は事務室、会議室、研究室等の一般居室は高効率電気式空冷ヒートポンプ空調機による空調を基本とし、換気設備は全熱交換器を採用した。給湯設備は局所給湯方式を採用し、研究室、事務室及び給湯室の流し台に床置き電気温水器を設置した。
Ⅰ期・Ⅱ期各々のBPI値、BEI値を下表に示す。


動物実験飼育室の概要
Ⅰ期、Ⅱ期エリアそれぞれの地下1階に、合計で約11,000匹のマウスが飼育可能な飼育室を計画した。飼育エリア内の清浄度は、ISOクラス7とし、一般環境エリアとのバリア設備として、オートクレーブ、パスルーム、パスボックスを設置した。
空調設備概要
飼育エリアの空調方式は全外気方式とし、各飼育エリアの規模に応じ、Ⅰ期工事は冷媒ガスホットレヒート型直膨式エアハンドリングユニット、Ⅱ期工事はエアハンドリングユニットを採用した。Ⅱ期工事の熱源は、省エネ性に優れる空冷ヒートポンプ式モジュールチラーを採用し、年間を通して冷水、温水を供給できるシステムとした。
清浄度確保のため、各室の換気回数は15回/h以上を確保し、吹出し口にHEPAフィルターユニットを設置し、ISOクラス7を確保した。
排気系統はマウスの排泄物から発生するアンモニアを除去するべく、屋上に活性炭フィルターユニットを設置し、屋外へ排出した。


空冷ヒートポンプ式モジュールチラー
活性炭フィルターユニット
電気設備概要
飼育エリア内は、ISO清浄度クラス7以上対応のLED照明器具を採用した。この器具は枠の外周に防塵パッキンを施し、クリーンルーム内の気密性を維持する構造となっている。
飼育室内の照明器具は、ベース照明以外にLED赤色灯を設置し、夜間の作業は赤色灯を点灯させ、マウスに影響を与えない計画とした。
Designer設計者

機械設備設計:Ⅰ期工事
環境・エネルギーソリューション部
井口 勉Tsutomu Iguchi
ドライエリアと屋上に置かれていた、研究室の既存屋外機を整理し、ビル用マルチ屋外機を屋上に集約して設置した。研究室は、スパンごとに室内機と全熱交換器をモジュール配置し、将来の模様替え対応を容易にした。建物外観は、設備を目立たせることなく、端正なデザインを維持することが出来た。建物意匠上への配慮として、設備の存在感をなるべく消した上で、機能させることが、設備設計者の目標と考えております。

電気設備設計:Ⅰ期工事
設計・監理本部 第3設計・監理グループ
山岸 玲Rei Yamagishi
Ⅰ期工事、Ⅱ期工事の各段階から最終形まで、設備インフラを活かしながらの切り替え計画を立案しました。
当該建物には他建物と関連するインフラも多数あり、本建物単体だけでなく外構も含めてのローリング計画を立てる必要があり、非常に苦心しました。学びのある設計でした。

電気設備設計:Ⅰ期工事
設計・監理本部 第3設計・監理グループ
内舘 康太Kota Uchidate
既設電気室を運用しながら新しい電気室を構築するという難しい条件で受変電設備の切替計画を検討しました。
改修後の幹線系統についても保守メンテ性・将来性を考慮した幹線計画とすることが出来ました。

機械設備設計:Ⅱ期工事
設計・監理本部 第2設計・監理グループ
吉田 雅之Masayuki Yoshida
動物飼育エリアのレイアウト計画について、設備設計者の目線で大学様、意匠設計者様と協議、検討しました。
入退室時のエアシャワー、オートクレーブの配置、汚染区域と清浄区域の明確な動線分離を行い、飼育環境の最適化を図りました。

電気設備設計:Ⅱ期工事
設計・監理本部 第2設計・監理グループ
井上 拓哉Takuya Inoue
Ⅰ期工事設計者からのバトンを受け継ぎ、既存設備との整合に配慮しながらⅡ期工事の電気設備計画を検討しました。工事中に運用を止めない切替に留意するとともに、将来への拡張にも対応可能な設計を目指しました。