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総コンの「今」と「これから」

総合設備コンサルタント(以下、総コン)は、2024年に創立50周年を迎えました。
今回は20代から40代の今後の総コンを背負って立つ社員の皆さんにお越しいただき、設備設計の仕事、総コンの
魅力、未来への抱負などについてざっくばらんにお話ししていただきました。

Member

  • 山岸 玲
    設計・監理本部 第3設計・監理グループ
    担当部長
  • 石田 潤
    設計・監理本部 NTT設計・監理グループ
    課長
  • 瀧ヶ崎 達也
    設計・監理本部 第1設計・監理グループ
    課長
  • 浮田 祐哉
    設計・監理本部 第1設計・監理グループ
    主任技師
  • 菅原 由貴
    設計・監理本部 NTT設計・監理グループ
    技師
  • 赤井 杏樹
    設計・監理本部 第1設計・監理グループ
    技術員

Theme.01

設備設計の面白さ、
難しさと
総コンの
取り組み

創立50周年、誠におめでとうございます。
まずは、皆さんが携わる設備設計のお仕事の面白さと難しさをお教えください。

山岸

一昔前に比べて建物が巨大化・高層化しているので、建物の設備も複雑化していく傾向にあります。建物の進化に伴って建築設備というジャンルがより重視されるようになってきました。設備設計に特化している総コンが活躍できる場面が増えている点では、非常に面白い時代になったと感じます。ただ、設備設計は建物の表面から見えない部分が多い設計なので、なかなか評価されにくいという側面があります。

石田

設備設計の立場を主張しすぎると、意匠設計と意見がぶつかることも多々あります…。意匠設計は空間を魅力的に見せることを追求するのに対して、設備設計では快適性や機能性を重視するのが大きな違いです。また、近年は地球温暖化に配慮しながら、建物内の快適性を保つことの重要度が高まってきており、照明の明るさや空調による室内環境設定、トイレ環境など、建物の利用者がいかに快適に過ごせるかがポイントとなりますね。

山岸

地球温暖化の設備設計に与える影響は、大いにあります。昔と比べると、設備設計の予算や発言力は高まっていると感じますし、省エネについて考慮するのが当たり前になってからは設備設計の重要度も相当高まりましたよね。

浮田

建築設計の意匠・構造・設備は、三者間で対等に話し合わないといけないと思っています。意匠設計の観点から「設備はできるだけ隠したい!」という気持ちは分かりますが、そうすると空調が効かない、照明が暗い─など、さまざまな問題が発生することになりかねません。

菅原

そうそう。意匠・構造・設備の間でのコミュニケーションは本当に重要ですよね。それだけではなく、お客様と密にコミュニケーションを取ることの重要性も感じています。よくあるのが、建物が完成した後にお客様から「コンセントがここにあればよかったのに…」と言われてしまうこと。お客様からどれだけ細かく情報を引き出せるか、そして使う場面を想像して設計できるかが、設備設計の難しさであり面白さです。

石田さんと菅原さんは、日本武道館の増改修工事に携わったそうですね。

石田

日本武道館の増改修工事においては、建築当時の意匠をそのまま残すことが求められました。照明設備を最新のLED照明に取り替えるとしても、最新の設備をそのままの形で設置してしまうと以前の意匠性が損なわれてしまいます。

まずは現地調査で現場を知るところから始め、建築当時の意匠性を保ちながら最新設備を組み込むにはどうしたらいいかいろいろ試行錯誤し、苦労しましたね…。

菅原

図面と現地を確認しながら現況を正確に把握して─というのは非常に大変な作業でした。けれども、日本武道館は各種武道の全国大会等の会場であり、また国や各企業の行事、さまざまなコンサート会場としても使われるなど多くの方に知られている有名な建物。このような案件に携われたのはとても貴重な経験でした!

山岸さんと浮田さんは、東京大学総合図書館の改修工事に携わられたとうかがいました。

山岸

東京大学総合図書館も、日本武道館と同様に創建当時の姿を残しつつ、最新の設備を組み込む必要がありました。元になる図面が非常に古く、文章が右から左に書かれていたり、今は使われていない「尺」という単位だったり。設計というよりも、歴史の勉強をしているみたいでした…。

浮田

このプロジェクト自体、約8年という大変な長期間でしたよね。

山岸

工事期間中も学生の方々が図書館を利用なさっていたため、水道や電気などのインフラをストップさせることが出来ず、仮設計画も含めた工程計画を想定しながらの設計には苦労しました。

また、プロジェクト期間が長いと、その間に新しい建築設備が登場することもあります。例えば、LED照明はこのプロジェクトの初期では最新設備で珍しかったのですが、8年も経つと割と一般的になっていましたね。

浮田

東京大学総合図書館は、外壁や中庭の美しさに最大限配慮せねばならない点が特徴でした。エアコンの室外機を屋上に上げるなどの工夫も、設備設計単独で判断できず、意匠設計や構造設計とコミュニケーションを細かく取る必要がありましたね。

設備設計の重要性は高いけれども、難しさも多いことがよくわかりました。
では、お客様からの期待に応えるため、総コンではどのような取り組みをなさっていますか。

瀧ヶ崎

現在建築業界では、先ほど山岸さんが言っていた「省エネ」をはじめ、「DX」や「BIM(※1)」などの先進技術が重要視されてきています。このような取り組みは、総コンのようなある程度規模のある設計事務所でないと対応しきれないと思います。また総コンでは一級建築士や建築設備士などの有資格者が多く、今後の法規制の改訂や新しい技術にも柔軟に対応可能です。

※1Building Information Modelingの略。
建設する建物を3Dモデルで構築管理すること。

赤井

総コンには「ブラザー&シスター制度」という若手教育の制度があります。私は一級建築士取得を目指して勉強しているのですが、ブラザーの瀧ヶ崎さんが定期的に声をかけてくださるので、モチベーションを保ちながら勉強できています!

瀧ヶ崎

「BIM」や「ZEB(※2)」などの先進技術でいうと、社内で10人ほどのワーキンググループを作り、定期的に集まって勉強や今後の戦略を話し合う機会があります。さらに2ヶ月に1回の「技術交流会」ではワーキンググループでの情報、メーカー講習で学んだことを社内全体に共有したりしています。

※2Net Zero Energy Buildingの略。
消費する年間の一次エネルギー収支ゼロを目指した建物。

赤井

他にも「技術マイスター制度」という社内での勉強の機会もあり、私は未利用エネルギー・再生可能エネルギーに関する技術マイスターを目指しています。まだ少人数のグループなので、今は講習会に参加するなど基礎学習を各々が進めて、グループ内でアウトプットできるように知識習得に励んでいます。今後は業務に取り入れられるレベルまで到達するのが、グループ内での目標です!

Theme.02

日々感じている
総コンの魅力

働きながら学ぶ機会の多い総コンは、多くの知識やスキルを求められる設備設計の仕事において非常に理想的な環境ですね。では、皆さんが思う総コンの強みとは何ですか。

菅原

お客様から「図面の作成スピードが速い」と言っていただく機会が多いと感じています。入社してから特に意識していたわけではないのですが、先輩方が設計に取り組む姿を見て身についたと思っています。総コンが“設備設計のリーディングカンパニー”ということを、この技術力が証明していると言えるのではないでしょうか。

石田

スピードに加えて、「図面のきれいさ、丁寧さ」について褒めていただくこともあります。総コンのメンバーは自社の高い基準で設計を学んでいくため、きれいで丁寧な高品質な図面が当たり前なんですよね。

浮田

お客様からも「総コンさんは仕事が早くて図面がきれいだ」と期待されていて、社員一同が常にそうした期待に応え続けているからこその高評価であり、さらなるお仕事につながっていると感じています。

山岸

総コンでは社員一人でお客様対応する仕事も多く、“個の技術力”は非常に高いですよね。

また会社全体について言えば、風通しの良さも感じています。設計グループによる垣根が無く、仕事の相談は誰でも快く答えてくれる環境です。大規模な建物の案件は複雑化することも多く、グループの枠を越えた複数メンバーで対応する必要があります。そのような場合は、とくに風通しの良さが活きているのではないでしょうか。

石田

私は総コンに入社して20年ほどですが、入社してからこれまでずっと上司や先輩の雰囲気が良く親しみやすいので、これは伝統なのかなと感じています。その結果、社会人として大切な「報連相」が疎かになりづらく、これは今後も後輩たちへ引き継がれていくことと思います。

○○課長や○○部長と役職で上司を呼ぶ会社がありますが、総コンでは上司のことも「○○さん」と呼んでいます。社会人で人間関係に悩む人は少なくないかと思いますが、総コンでは人間関係の悩みが圧倒的に少ないのが特徴です。

山岸

部署としてグループはありますが、派閥はありません。そもそも、各部署の上司の仲が良いですもんね!

創立50周年を契機に、昨秋より職場・会社をより良くするための「職場改革・意識改革全社員検討」が実施され、今年2月に発表会が開催されたとうかがいました。いかがでしたか。

山岸

発表会での、「早く行きたければひとりで行け。遠くに行きたければみんなで行け。」という社長のご挨拶の言葉がとても印象的でした。総コンの良さである「個の強さ」だけでは、一定のところで頭打ちになる時がやってきて、そこから先はチームで取り掛からないと進めません。今回社長が掲げた中期ビジョンの目指す姿には、個の力だけで辿り着くことは難しいでしょう。総コンは技術を個人に蓄積するプロセスは豊富ですが、一方で個人が社内にアウトプットする機会がまだまだ少ないと感じています。そのような機会がもっと増えてほしい、という主旨で今回発表したのですが、見事に最優秀賞をいただけました。

菅原

山岸さんの素晴らしい話の後で少し気が引けますが……(笑)今回私がいた検討チームは、本社の女性社員で組んだチームでした。改めてチームメンバーを見て、「女性社員がすごく増えたな」と感じたのを覚えています。かつては本社の女性社員は数人しかおらず、時期によっては私一人しかいないこともありました。今では女性社員が10名ほど在籍しています。実際に職場改革の検討を通じて、みんな強い想いを持って働いているんだなと実感できました。他社の友人からは建築業界での女性社員の働きづらさなどを聞くこともありますが、総コンでは性別や年齢で働きづらさを感じることが全くありません。

瀧ヶ崎

私のチームは30代の社員が集まったチームでしたね。どの職場でもその傾向にあると思いますが、30代は役職や個性のばらつきが大きく出ると思っています。
20代はみんな似たような考えでまとめてきますし、40代は意見が強い人が多そうですが…。

山岸

すみません(笑)

瀧ヶ崎

いえいえ(笑)なので、私のチームでは意見のばらつきがありましたが、みんなの意見を取り込めるように、30代前半のメンバーにチームリーダーを託しました。各々が話していく中で、みんなが賛成する点もあれば、改善したいと考える点もありましたね。

結果、私達のチームは敢闘賞を受賞出来ました。これまで関わりが少なかった人同士が職場改革の検討をきっかけに話すようになったのを見ると、横のつながりが広がったなあと感じています。
私がこれまで10年以上総コンで勤めてきて、今回の検討、発表会のような場はなかったので、とても良い機会になりました!

Theme.03

未来への抱負

50周年を迎えた総コンでは「2030中期ビジョン」という展望が掲げられました。
皆さんはこの中期ビジョンの内容を聞かれて、どのように感じられましたか。

石田

これまでは企業理念や経営理念が掲げられていましたが、今回「よりよい未来社会を建築設備で創造する」というパーパスが新たに定められました。私は大手企業とパートナーとして案件を進める機会が多いため、協業する中で培った知見や提案力を社内にも広めていきたいと考えています。

浮田

石田さんが言うように、各メンバーが総コンの知見を高めていくことが大切だと感じています。まずは、周囲から信頼してもらえる企業になることが不可欠です。総コンが、最先端で高度な設備設計技術を持つ信頼できる存在になるためには、先ほども話題に出てきた「技術マイスター制度」などの社内制度を活用していけばいいですね。私個人としても、建築設備技術者協会の技術誌を見たり、建設通信新聞を読んだりして知識を深めています。

赤井

私は、中期ビジョンを聞いて「高い目標だな……」と感じたのが正直な気持ちです。今の自分の実力を考えると、「○○で社会に貢献する」という具体的な展望を掲げることが難しいため、まずは資格取得と設備設計に関する基礎知識を増やしてお客様から信頼を得るところから始めていきたいと思います。山岸さんがおっしゃるように総コンは個の力が強いと感じているので、自分もそのレベルに到達して、社内にも良い影響を与えられる人材になりたいです!

最後に、未来への抱負をお聞かせください。

赤井

総コンには上司や先輩方など、人として尊敬できる方がたくさんいます。私もそのような先輩方に少しでも近づきたいです。例えば打ち合わせにおいて、お客様からの要望の引き出し方や、こちらの意見の伝え方などで「さすがだな!」と感じる場面が多々あります。

また情報共有に関しては、自分自身は吸収した情報を展開する力が弱いと感じているので、もっと発信力を強めていきたいです。今後、後輩ができたら知識をうまく伝えていく一方で、後輩が持っている知識についても、コミュニケーションをとって自分から積極的に吸収したいと考えています!その結果、会社の成長に貢献できたら嬉しいです。

菅原

昨年末、建築設備技術者協会の会合で、女性技術者として発表する機会をいただきました。その時に、「そういえば、打ち合わせなどで自分より年上の女性と会ったことがないな……」と感じたんです。最近は若い女性がどんどん入社してきてくれるので、この状況は変わっていき、より女性が活躍できる機会が多くなるでしょう。また、私が女性技術者として情報を発信することで、「女性も長く働いて社会に貢献できるよ」というメッセージにもなるのではないかと思います。

もちろん、5年後も10年後も技術を磨くことが前提の上での話です。自分が技術を磨いていかないと下の世代にどんどん追い上げられてしまうので、抜かれないように一生懸命頑張りたいと思います!

浮田

設備設計技術者として仕事をしていく中で、今後も技術を習得し続けなければいけません。総コンには、リピーターのお客様が多数います。建築設備は15〜20年周期で改修が必要となるため、リピーターを大切にしていきたいと考えています。自分が中堅の立場になっているので、今後はお客様へ後輩を紹介できるように、教育にも力を入れていきたいですね。

仕事の速さや図面のきれいさ、丁寧さを後輩にも伝えつつ、声をかけてくださるリピーターのお客様を大切にしたいという思いが常にあります。

瀧ヶ崎

総コンの設備設計の技術力は高いので、私もどんどん知識を吸収し、社内に展開していきたいです!社内全体でこの流れを定着させることが出来れば、更に高品質なサービス提供ができると思っています。

また、若手がどれだけ育つかが今後の総コンにおける大切なポイントになります。若い人材に対してどのようなアプローチが効果的なのかを日頃から意識して、社内全体の技術力向上に努めていきたいです!

石田

先輩からずっと言われている言葉で「設計の仕事は究極のサービス業だ」というのがあります。私自身も常に意識しているのは、設備設計という仕事は常にお客様の“かゆい”ところに手が届く存在でありたいということです。顧客視点を意識し続けることで、多くのお客様から信用していただけると考えています。総コンの技術力の高さと、レスポンスの速さで、信頼を勝ち取りたいですね!

また、会社にとって人材は財産です。優秀な設計者は1年や2年では育たないので、育てている途中の人材が辞めていかないように、自分が上司になったときに何ができるかを考えています。これまで先輩たちが築いてくれた風通しの良い社風を引き継ぎ、働きやすい職場環境を構築できる立場になれれば、次の世代と一緒に会社を盛り上げていけると思っています!

山岸

私は10年後のことを考えると定年が見えてきますが、設備設計は知識と技術があればずっと働いて社会に貢献できる仕事です。最近は建築設備の重要性が高まり、設備設計者の社会的地位が上がっているため、未来の設備設計技術者を増やしていきたいです。

私は図面を描くのが好きですが、ずっと実務を続けるのには限界があるので、いずれは社内外のことをマネジメントする側にシフトしていきたいと考えています。すでに最近はマネジメントする場面も増えてきているので、業界全体が盛り上がるような動きをしていきたいですね!

50周年を機に皆さんも総コンもさらに成長され、建築設備によってよりよい未来社会を創造されることを心より祈念しております。本日はありがとうございました。